ワインと外交 [本いろいろ]
人間は,本能で飲み食いする動物であるが,
同時に,観念で飲み食いする妙な生き物でもある…
国賓を招いた晩餐会で,あるいはまた国連の昼食会で,
どういう意図でどんな食事とワインが用意され,
その結果どうなったのかが事細かに書かれていて,
大変興味深い。
たとえばホワイトハウスの晩餐会で出されるワインは
ゲストの国からの移民がつくったカリフォルニアワインであったり,
EUが一気に25カ国に拡大する記念の晩餐会で
ホストであるアイルランドが用意したのは
アイルランド出身のリンチさんの子孫がボルドーでつくったランシュ・バージュであったり,
フランス大統領が英国女王を招く際のワインは
古くはイギリス領であったボルドー産のワインばかりであったり,
自分にも手の届く思いのほか安いワインが使われていたり,
逆に最高級のワインを揃えて一晩で3000万円もワイン代が使われていたり…
あるときはホスト国の主張,
またあるときは相手国への気遣いが
あらわに見えておもしろい。
そしてそれぞれの背景に,
外交の世界の魑魅魍魎のうごめきを感じることができる。
そういう場で飲み食いする料理とワインは,
果たして本当にうまいのか,それは疑問だが。
(メニューを読む限り,とってもうまそうだけど(^^;)
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