真保裕一「最愛」 [日本の小説]
真保裕一の作品は,
「連鎖」と「取引」でハマって以来,
単行本が出るたびに欠かさず無条件で買って読むほど
文句なしに気に入っていた。
とくに「ホワイトアウト」は白眉だと思った。
(ホワイトだけに…って,オイヾ(^^;)
ただ,ここ数年,
以前のようなドライブ感がなくなったなあ,
と感じている。
じっさい
「黄金の島」を読みきれず,
「誘拐の果実」に至っては,最初の数十ページで放棄してしまった。
それ以来,無条件で買うことはなくなっている。
さて,先月出た「最愛」
久しぶりに漢字2文字シリーズか?
と思ったが,そうではないようだ。
本屋さんで最初の方を読んでみて,
キャラクターが気に入りそうだったので買ってきたのだが,
そのまま忘れて放り出してあったのを,
読む本がなくなって,
なんかないかなぁと思ったときに,
ようやく思い出して読んでみた。
とりあえず,最後まで読めた(^^
でも,ネタをばらしちゃいけない本なので,
ストーリーには触れられない。
主人公の小児科医「僕」と,
二宮真尋という女性キャラが,
なかなかいい味出してるな,と思ったのだけれど…
その先は言えない(^^;
全体の構成は,宮部みゆきの「火車」を思い起こさせたのだけれど,
これも理由は言えない(^^;;
感想も言えな…(。_°☆\(- - ) バシッ
最近の真保さんの作品のうちでは,医療物に入る作品だが,どうも調査不足が否めない作品である.平行して連載していた「栄光なき凱旋」に時間を取られたか.
最初は流石に真保作品で,ぐいぐいと引っ張り息をもつかせぬ展開であるが,次第にボルテージが下がり,最後の落ちは戴けない.それもそうなのだが,筋弛緩剤が人工呼吸器につながれた患者には,何の影響を及ぼさない,という認識がないのだろうか.最近,筋弛緩剤を用いた安楽死事件があったので,本剤を用いたのかも知れないが,塩化カリウムならともかく,マスキュラックス(これも商品名なのだが)を注射してもなにも起こらない.このことが,最近の真保作品の医療物における調査部側を代表しているような印象をもった.
奪取,ホワイトアウト,など,初期の作品や最近なら,栄光なき凱旋,など,十分な調査をもとにすれば,素晴らしい盛りあがりが書けるのだが,惜しい.次作に期待するか,あるいは次版で訂正をした方がよい.
by black jack (2007-04-11 16:51)