加納朋子「レインレイン・ボウ」 [日本の小説]
文庫の利点は,二つある。
まずは当然だが,小さくて軽くて安いこと。
だが第二に,解説がつくというのも重要だ。
おいしい料理の後は,
おいしいコーヒーで余韻を楽しみたい。
よい解説は,良質のコーヒーのようなもの。
単行本では得がたい楽しみである。
だから解説の執筆者が悪いと最悪。
料理がおいしくても,泥のようなコーヒーを最後に飲まされたのでは,
百年の恋も一瞬にしてさめようというもの。
「月曜日の水玉模様」の西澤保彦が書いた解説は酷かった。
一応作家なのだろうから(その「作品」は読む気も起こらんが),こんな酷いのを人前にさらしちゃまずかろう。
でもそれ以上に,せっかくの作品に味噌をつけられた加納さんがかわいそう。
それにひきかえ,
その姉妹編である本書の北上次郎さんの解説は,まったくもって素晴らしい。
北上さんが解説でほとんど言い尽くしてくれているので,とりあえず引用。
----以下引用----
うまいなあ加納朋子。この作者のうまさについては,いまさら言うまでもないが,しかし本書を再読してまた唸っている。
(中略)
読み終えると元気が出てくるのもいい。これは温かな一冊だ。いとおしくなる一冊だ。
(中略)
本書は,各篇に謎解きをちりばめながら,高校卒業後のヒロインたちの人生と現在を鮮やかに描く連作なのである。
いくらなんでも,これで十分だろう。しかし,実はそれだけでもないから驚く。最大の趣向がまだ残っている…
----引用終わり----
ちょっとでも中身に触れると,
精巧な細工が壊れてしまうようでこわい。
それほど精巧に組み立てられている。
だから内容には触れられない。
ただ,
7つの連作短編に登場する23歳から25歳の乙女たちに,
次から次へと惚れまくったことだけは,告白しておこう。
はじめまして。
同じく惚れまくりました(笑)。
本も面白かったですね!
by しんちゃん (2007-03-19 16:33)
しんちゃんさん,はじめまして。
ようこそいらっしゃいまし。
やっぱり惚れますよね(^^
私は陽子さんも結構好きです。
でも由美子さんがイチバンかな…って,なんの話じゃ(^^;
by 林艮 (2007-03-20 12:44)